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2026-05-22車種 Wiki

CB400Four——4into1が刻んだ3年間と、いま手に入れるために知っておくべきこと

1974年登場のホンダCB400Fourを設計思想・集合マフラーの技術・中古相場まで徹底解説。

CB400Four——4into1が刻んだ3年間と、いま手に入れるために知っておくべきこと
Photo by z5 · Source

「中免で乗れる4気筒」が生まれた背景

1970年代前半、ホンダのラインナップにはCB750Fourという不動の大排気量フラッグシップがあった。だが日本国内の免許制度は1975年に限定解除審査を厳格化する方向に舵を切りつつあり、400cc以下の中型自動二輪免許で乗れる4気筒モデルへの需要は確実に存在していた。CB400Fourの開発背景には、その市場的な空気がある。

正式な型式名はCB400F。当初は408ccのエンジンを搭載したが、1975年の免許制度改正(中型限定免許の上限が400cc)に対応するため、後に排気量を398ccへ縮小した国内向け仕様も登場した。1974年12月に国内販売が始まり、1977年まで生産が続いた。わずか3年ほどの生産期間である。にもかかわらず、この車両が半世紀近くを経てなお中古市場で高値を維持し、カスタムベースとしても支持され続けているのは、短命ゆえの希少性だけが理由ではない。

エンジンは空冷4ストロークSOHC4気筒。ボア×ストロークは51.0mm×50.0mmで、ほぼスクエアに近い設計だった。メーカー公称の最高出力は37PS/8,500rpm。同時代のCB350Four(33PS)からの正常進化でありながら、車体の軽さ——乾燥重量は公称で約182kg——が走りの質を大きく左右していた。同年代の750ccクラスが乾燥230kg前後だったことを考えれば、その差は歴然だ。

注目すべきは、このCB400Fourが単なる「小さなCB750」ではなかったことである。フレーム設計、サスペンションのジオメトリ、そして何よりマフラーの取り回しにおいて、CB750Fourとは明確に異なる思想が貫かれていた。とりわけ集合排気管——いわゆる4into1マフラー——の採用は、この車両のアイデンティティそのものとなった。

Honda CB400 Four vintage motorcycle 1970s Photo: Honda Dream CB400 Four by Rikita, via Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

4into1——集合マフラーが量産車にもたらしたもの

CB400Fourを語るうえで、4into1集合排気管を避けて通ることはできない。当時の量産車において、4気筒の排気管を1本に集合させて車体右側にまとめるレイアウトは極めて珍しかった。CB750Fourが4本出しの排気管を採用していたことと対比すれば、CB400Fourの集合管がどれだけ異質だったかがわかる。

技術的な観点から整理する。集合排気管は、各気筒の排気脈動を利用して他の気筒からの排気引き抜き効果(排気干渉による掃気促進)を狙える構造だとされる。4気筒エンジンの場合、点火順序に対応した排気管の長さと集合部の容積が排気効率に影響を与える。CB400Fourの集合管は、4本のエキゾーストパイプがエンジン下部で1本のサイレンサーに合流する設計で、右側1本出しという見た目のすっきりさと、排気効率のバランスを両立させていた。

この集合管の採用には、当時ホンダの開発陣がレース用マシンで得た知見が反映されているとされる。市販車の量産ラインで4into1を成立させるには、溶接精度、各管の等長性、集合部の設計など、コストと品質管理の両面で課題が多い。CB400Fourの集合管が後のカスタムシーンにおける「集合管信仰」の起点のひとつとなったことは、単なる懐古趣味ではなく、量産車としての工業的な挑戦があったからだ。

排気音もまた、4into1特有の音質を持つとされる。4本出しの場合は各気筒の排気音がそれぞれ独立して聞こえやすいが、集合管では干渉・合成された排気音となり、一般に「太く、まとまりのある音」と形容される。もっとも、排気音の印象は主観に大きく左右されるため、ここでは構造的な事実としてのみ記しておく。現行の騒音規制下では同様の構造と音量を新規に再現することは極めて困難であり、そのことがCB400Fourの集合管を一種の「時代の遺産」としている側面は否定できない。

motorcycle 4into1 exhaust pipe classic Honda Photo by Sam Carter on Unsplash

📺 関連映像: Honda CB400Four 4into1 exhaust sound — YouTube で検索

エンジンと車体——408ccの設計を読む

CB400FourのエンジンはSOHC2バルブの408cc直列4気筒である。カムチェーン駆動によるSOHCヘッドは、DOHC化が進む以前のホンダ4気筒としては標準的な構成だが、注目すべきはその回転フィールの軽さにあるとされる。

ボア51.0mm×ストローク50.0mmというほぼスクエアな設計は、高回転域での伸びと低中回転域でのトルク感をバランスさせる意図が読み取れる。キャブレターはケーヒン製の4連。口径や型式はモデルイヤーによって若干の変更がある。初期型と後期型の違いとして一般に知られるのは、シートレールの形状変更(初期の「ヨンフォア」に対し、後期は「398」として知られる仕様の違い)やカラーリングだが、エンジン本体の基本設計は生産期間を通じて大きく変わっていない。

フレームはスチール製のダブルクレードル。当時のホンダ中排気量車に共通するオーソドックスな構成だが、エンジン搭載位置とスイングアームのピボット位置の関係で、直進安定性と旋回性のバランスが取られていたとされる。フロントフォークはテレスコピック、リアはツインショック。ブレーキは前輪がディスク、後輪がドラムという組み合わせで、これも同時代の中排気量車としては標準的だった。

車体の設計思想として特徴的なのは、全体のコンパクトさだ。ホイールベース、シート高ともにCB750Fourより短く低く、取り回しの良さは当時から評価されていたとされる。4気筒エンジンの精密感と、軽量な車体による身のこなしの良さ——この組み合わせが、後年「名車」として記憶される理由のひとつになった。

補足すれば、CB400Fourには前期型(1974-1975年頃)と後期型(1976-1977年頃)があり、前期型はいわゆる「408cc」、後期型は当時の免許制度改正に対応するため排気量を398ccに縮小した仕様である。コレクター市場ではこの前期型・後期型の区別が相場に直結するため、購入を検討する際には型式の確認が不可欠だ。

Honda CB400F engine SOHC inline four cylinder Photo: Honda CB400F mod by Joe Tordiff, via Wikimedia Commons (CC BY-SA 2.0)

中古相場と入手の現実

2020年代半ばの中古市場において、CB400Fourの価格は高止まりが続いている。状態の良い前期型(408cc)はとりわけ高額で取引されており、フルオリジナルに近い個体であれば車両本体価格で300万円を超える事例も珍しくないとされる。後期型の398ccでも、程度次第では200万円前後の相場が形成されている。

この高騰にはいくつかの要因がある。まず生産期間が短く、もともとの流通台数が限られること。次に、1970年代の日本製バイクに対する国内外のコレクター需要が年々高まっていること。さらに、CB400Fourは純正部品の欠品が進んでおり、オリジナルコンディションを維持できる個体が減り続けていることも価格を押し上げている。

入手にあたって留意すべき点は多い。まず錆の問題。フレームやスイングアームのピボット周辺、タンク内部の腐食は、外観からは判断しにくい。エンジンについては、カムチェーンテンショナーの状態、オイル漏れの有無、クランクケースのガスケット面の状態などが重要な確認ポイントとされる。電装系も40年以上前のハーネスであれば経年劣化は避けられず、レギュレーターやイグニションコイルの状態も要チェックだ。

集合マフラーは言うまでもなく核心部品であり、純正の4into1が残っている個体は価値が高い。社外品への交換歴がある個体では、純正マフラーの有無が価格に影響する。純正マフラー単体でも中古パーツ市場では高値で取引されており、状態が良ければ20万円を超えることもあるとされる。

レストアベースとして不動車を安価に入手し、自分で仕上げるという選択肢もなくはない。ただし、前述のとおり純正部品の入手難易度は年々上がっており、社外のリプロダクション部品に頼らざるを得ない場面も多い。それでも、国内の旧車専門店やパーツメーカーがCB400Four向けの部品を継続的に供給している点は、同年代の他車種と比べれば恵まれた環境と言える。

vintage motorcycle market auction Honda classic Photo by Hiroshi Tsubono on Unsplash

カスタムの入口としてのCB400Four

CB400Fourはカスタムベースとしても長い歴史を持つ。1980年代から1990年代にかけての族車カスタム、2000年代以降のカフェレーサーブーム、そして現在に至るネオクラシック的な仕上げまで、時代ごとに異なるスタイルで改造されてきた。

カフェレーサースタイルのカスタムでは、セパレートハンドル、シングルシート(またはショートカウル付き)、バックステップの装着が定番とされる。集合マフラーはもともと1本出しのため、カフェレーサーのすっきりしたシルエットとの相性が良い。フロントフォークのインナーチューブ交換やリアショックの社外品への換装は、走行性能の向上と見た目の刷新を両立させる定番手法だ。

一方で、フルオリジナルのコンディションを維持する方向に価値を見出す層も増えている。前述の相場高騰がその証左であり、カスタムするか・オリジナルを保つかの判断は、個体の状態と所有者の目的によって分かれる。オリジナルの塗装やメッキが残っている個体をあえてカスタムに供するのは、経済的にも文化的にも勇気がいる選択だ。

カスタムに踏み出す場合、注意すべき点がある。保安基準への適合はもちろんだが、CB400Fourのフレームは設計年代なりの剛性であり、大幅なパワーアップや足回りの変更を行う際にはフレーム補強の要否を慎重に検討する必要があるとされる。1970年代のスチールフレームは現代の車両と比較して剛性が低い傾向にあり、ブレーキやタイヤの性能だけを現代水準に引き上げると、フレームが先に音を上げる可能性がある。この点は旧車カスタム全般に通じる基本原則だ。

cafe racer custom motorcycle Honda CB400F build Photo: Honda CB400F mod by Joe Tordiff, via Wikimedia Commons (CC BY-SA 2.0)

📺 関連映像: CB400Four カフェレーサー カスタム 紹介 — YouTube で検索

結局この一台は何だったのか

CB400Fourは、4気筒エンジンと集合排気管を中排気量に持ち込んだ最初期の量産車のひとつであり、その生産期間のわずか3年という短さが、逆説的にこの車両の神話性を高めた。技術的には、量産ラインで4into1を成立させたこと、408ccという排気量で4気筒の精緻さを日常の速度域に落とし込んだことが設計上の功績だった。

中古相場は2020年代半ばにおいても高値安定の傾向にあり、今後さらに上昇する可能性も指摘されている。入手を考えるなら、前期型・後期型の区別、純正部品の残存状況、集合マフラーの有無を最低限確認すべきだ。カスタムベースとして手を入れるか、オリジナルコンディションで保存するかは、所有者の哲学次第である。

いずれにしても、CB400Fourが1970年代の日本のモーターサイクル史において果たした役割は小さくない。中免で乗れる4気筒という実用的な命題に、集合排気管という技術的な挑戦を重ねたこの一台は、50年後の現在も「手に入れたい一台」であり続けている。

もっと深く知りたい方には、以下の資料が参考になる。CB400Fourの車両解説とオーナーズレポートを網羅した『ホンダ CB400Four ファイル』は、型式ごとの差異を確認するうえで基本資料となる。また、カスタムの文脈では『カスタムバーニング 2017年4月号』(造形社)が旧車カスタムの特集を組んでおり、CB系の作例も掲載されている。旧車全般の相場動向や整備の実際を知るには『ミスター・バイクBG 2019年10月号』(モーターマガジン社)の旧車特集が手堅い。書籍や雑誌のバックナンバーは古書店やオンラインで入手可能なものも多く、車両購入前の知識の底上げに役立つはずだ。


本記事はメーカー公開資料・雑誌バックナンバー・公開報道を編集したものです。公道での違法改造・スピード超過・無保険走行を推奨するものではありません。車両の購入・カスタム・メンテナンスは、必ず正規ディーラーまたは認証整備工場にご相談ください。

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